黒豆海苔巻

主に北海道で散歩してるブログ

こういうのがいいんだよ 千歳水族館

f:id:Kuromame:20150922161412j:plain

 サケの遡上が道央圏でも確認され始めたところで、千歳水族館に行ってきました。「サケのふるさと館」がリニューアルされ、2015年7月25日にオープンした水族館です。支笏湖を含めた千歳川水系の生き物を展示する施設となっています。

f:id:Kuromame:20150922161731j:plain f:id:Kuromame:20150922161913j:plain

 入館すると、液晶ディスプレイに「ちとせ」「ようこそ」「HELLO」などと魚文字が歓迎。床を泳ぐ魚群に導かれ、順路を進みます。

f:id:Kuromame:20150922162126j:plain

 シロザケ(成魚)水槽。今年の千歳川での遡上は8月5日に初確認されたそうで、展示は9月上旬から。

f:id:Kuromame:20150922162247j:plain f:id:Kuromame:20150922162145j:plain

 成魚と稚魚。4年でこんなでかくなって帰ってくるんですね。成魚の模型を持ち上げられるコーナーがあるのですが、8kgは重い…。

f:id:Kuromame:20150922162100j:plain

f:id:Kuromame:20150922161943j:plain f:id:Kuromame:20150922162609j:plain

 淡水では国内最大級という大水槽ではチョウザメやイトウ、サクラマスなど、北方系の淡水魚が一度に堪能できます。横に並ぶ小さな水槽では、こんなにいてもいいのかというくらいのニジマスアルビノ稚魚、そしてなんとシシャモ稚魚を観察することができます。

 北見の山の水族館もそうですが、縁もない熱帯の大型淡水魚でなく、こういう地元の魚を丁寧に紹介する水族館です。こういうのがいいんだよと、井之頭五郎のごとく進みます。

 

f:id:Kuromame:20150922162752j:plain

 いちばんの見どころは、なんといってもこの支笏湖を再現したという水槽でしょう。水槽の実際の大きさより奥行が深く見えるようになっており、それを染める青色に引き込まれます。

f:id:Kuromame:20150922162849j:plain

f:id:Kuromame:20150922163105j:plain f:id:Kuromame:20150922163339j:plain

 アメマスやヒメマス、エゾウグイ、外来種であるニジマスブラウントラウトまで、支笏湖の生き物を知ることができる素晴らしい水槽です。支笏湖はあんなにも透明ですが、それでもこれだけの生き物が生息しているのですね。

 シコツは、「大きな窪地」という意味。湿地の広がる千歳周辺の地名がそもそもシコツだったそうですが、音の響きが悪いということで、鶴は千年の千歳と改名されました。そのせいでか、支笏湖には骨が沈んでいるなんて話があるんでしょうか。

 

f:id:Kuromame:20150922165955j:plain f:id:Kuromame:20150922170042j:plain

 かつてのシコツ川、千歳川の再現水槽ゾーンを抜けると、水族館の横を流れる千歳川を覗くことができます。密集するウグイにまぎれ、遡上してきたサケを1尾間近で見ることができました。

 帰り際、千歳川にかかる橋から見下ろすと、20尾前後のサケが上ってきていました。この時期、12月までの間に遡上するサケは、水族館脇のインディアン水車により孵化放流事業のために捕獲されます。この日見たサケは全て捕獲されるでしょう。

 千歳川でも、12月以降、1月などには自然産卵のサケが戻ってくるそうです。サケは海からの栄養を運び、陸の生態系にも繋がる存在ですので、もっと多くの個体が上流まで到達できればと思います。とはいえ、遡上できるとしても発電所のダムのところまでであり、そこまででどれほどサケの産卵のためのキャパシティがあるでしょう。孵化放流がなければ、個体数の減少は避けられないように思います。自然産卵を許す限り拡大しながら、個体数を維持する程度に孵化放流を継続する、そんなことが実現できたらよいのでしょうか…。

 サケとの関わりに思いを馳せられるのも、この時期の訪問だからこそなのかもしれません。