黒豆海苔巻

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モーション/エモーション

 札幌芸術の森美術館で開催中の『モーション/エモーション −活性の都市−』を観てきました。

 「都市」をテーマに、北海道を中心に活動する作家9人による作品約90点を観ることができる展覧会です。

 特に印象的だったのは山川真一さんの作品群で、東京や横浜といった都市を俯瞰で描いた油絵。やや照明を落とした展示室に入った途端、大判のキャンバスから放たれる怪しげな光に圧倒されました。夜景・昼景に関わらず多用される黄・緑・赤の蛍光色がその光の正体でした。実際の景色では目にしなさそうな色ですが、絵の中ではしっくりと当てはまり、またその非現実的な色が絵の中の時間感覚も取っぱらい、ありがちな都市の遠景をいかがわしく魅力的にしていると感じました。パンフレットなどで印刷されたものでは蛍光色が表現されていないのが残念…実際に観れば印象は全く変わるでしょう。

 楢原武正さんによる廃材を使った大オブジェ「大地/開墾」では、炭色の塊といったスケール感もさることながら、ところどころに飛び散った後のように浮かび上がる水色や橙色の絵の具の細い線にどきりとさせられた。

 羽山雅愉さんによる小樽の風景画も不思議な印象でした。細部は写実的だし、濡れた路面や水面に反射する町並みも美しいのですが、信号やトラックのスケール感が実際の印象からずれていたり、目線より若干高い位置から見たような景色の描写が、地に足がついていないような浮遊感を感じさせます。奇妙な違和感にしばらく絵の前で足を止めました。

 私は出品されている9名の方は全員存じていなかったのですが、共通のキーワードの下でも全く異なる各人の展示は大変面白かったです。