黒豆海苔巻

主に北海道で散歩してるブログ

時間が足りない イエローストーン

 イエローストーン2日目。この日いっぱいで帰らなくてはなりません。

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 夜明けに合わせ再入園しました。気温の低さがあってか、昼間よりももうもうと蒸気が立ち込めています。

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 最初に目指すは大型哺乳類が多く見られるというLamar Valley。8,980㎢も敷地面積があり、公園内で一山超えなくてはなりません。斜面に咲くArrowleaf Balsamrootが朝日で黄色く輝き、ものすごく綺麗です。

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 谷で最初に現れたのはオスのプロングホーンです。本気を出せば70km/hで走り続けられるほどのランナーらしいのですが、落ち着いて道路を横断してくれました。

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 ユインタジリスはいたるところにいます。公園内で最も多い礫死体はこいつでした。カラスがその死体をかっさらっていくものも目にしました。

 

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 そしてバイソン。今回一番多く目撃できたのはバイソンです。写真の2頭は、仲良く並んで草を食べていたかと思えば頭をぶつけて喧嘩を始める、ということを何度も繰り返す複雑な関係。じゃれてたんでしょうか。

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 その一方で、背中に小鳥を乗せてうたた寝する平和なやつもいます。

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 谷には大きな群れが食事をしていました。バイソンはかつての開拓民やネイティブアメリカンにとって貴重な資源でした。食用としては舌と背中の瘤が美味らしく、これと革だけが取られた膨大な死体が西部地方に転がっていた荒涼とした時代がありました。骨に含まれるリン酸が肥料になるとわかった後は、打ち捨てられたバイソンの骨を拾い集めるビジネスまで始まったとのことです。

 バイソンの乱獲をさらに促進したのは、ネイティブアメリカンの排斥です。衣食住全てにバイソンを活用していた彼らの生活の基礎を壊そうとしたのです。そうして19世紀末には、300頭ほどまで激減しました。

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 全盛期には遠く及ばないものの、個体数は回復してきているそうです。公園内のバイソンは人をあまり恐れず、車のすぐ脇を悠々と通り過ぎていきます。そのおかげでバイソン渋滞がしょっちゅう起きていました。

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 砂浴びもしていました。

 

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 そんなバイソンを見ていたのがコヨーテ。一瞬オオカミかと身構えました。

 イエローストーンの取り組みで最も有名なのは、オオカミの再導入です。天敵が絶滅したおかげで増えていたシカの仲間の個体数調整のため、1995年より再導入が始まったのです。効果はてきめんで、シカの個体数減、貴重な植物の維持、増えた植物の根が土壌を固め地形を侵食から守るなど、様々な効果があったと発表されています。

 Slough Creekで隣にいたおばちゃんがオオカミを見つけていたのですが、僕はそれを発見できず少し心残りです。

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 オオカミ再導入の原因は、Mammoth Hot Springのビジターセンターの横でうたた寝していました。

 

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 そのMammoth Hot Springへと向かう途中の池にいたのがキガシラムクドリモドキ(Yellow-Headed Blackbird)。写真を撮ろうとカメラを向けてると、「ブラックヴァー、ブラックヴァー」と言いながら人がどんどん集まってきました。ブラックバードって珍らしいのか…?

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 Black Bearと言っていたのでした。アメリカグマ!池の対岸に現れていたのに全く気づいていませんでした。アメリカグマは水を少し舐めて去って行きました。それにしてもこの聞き間違いは恥ずかしい。

 

 そうこうしていると天気が急変してきました。突然の激しい雨、遠くから雷鳴も聞こえます。山だから仕方ない、と車の中でぼんやりと遠くの山の斜面を見ているうちに、うっかり1時間ほど昼寝をしてしまいました。雨足はまるで弱まっていません。

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 動物探しは一旦中断し、短いトレイルを歩いて滝を見に行きました。Lower Fallsは落差94mの巨大な滝で、イエローストーンのポスターにも描かれる象徴的な風景です。深くえぐれたような渓谷も見所です。

 

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 イエローストーンで最も大きな温泉湖Grand Prismaticに向かううちに晴れてきました。ここは赤茶色のサークルの中に真っ青な湯が湧き出している絶景なのですが、雨上がりで湿度が高いためかやや湯気が多く、中心部までははっきり見通せません。

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 どうやら遊歩道以外に、山から見下ろす道もあったようです。今回はちょっと事前の情報収集が不完全でした。この温泉湖を見た後は、またもや雨が降ってきてしまいました。

 3日くらいはいないと満喫しきれないな…と後ろ髪を引かれながら公園を後にします。もっとトレイルを歩きたかった…。

 

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  この日はアイダホフォールズまで下って宿泊です。アイダホの広大な平原に沈む夕日が綺麗でした。