水木サンの調布を歩いた

僕の小学生から中学生の頃は、いわゆる第4シリーズのアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』が放映されて、それに合わせてか『マガジン版ゲゲゲの鬼太郎』の復刻版が書店に並び、京極夏彦がデビューし、雑誌『怪』が出て、大人も子供も巻き込んだ妖怪ブームがあったのではないかと思われる。さらに叔父は極度の水木しげる(とガメラとギター)フリークであったので、誕生日・クリスマスとことあるごとに妖怪図鑑などを供与し僕を洗脳しようと躍起になっていた節がある。おかげで、好きな漫画は『貸本版悪魔くん』、苦手なタイプは吸血鬼エリートみたいな奴、人生で一度は食べてみたいのはヒトダマの天ぷら、という人間に仕上がった。
その水木しげるが50年近く住んだ調布市を訪れてみた。事前によく確認していなかったのだが、訪問日である11月30日は水木しげるの命日であった。運命めいたものを感じられるのは嬉しいものだ。

調布駅前は思った以上に都会的でびっくりしたが、少し歩けばすぐに静かな住宅街に行き着く。朝の柔らかい日差しを浴びながら歩みを進め、覚證寺に墓参りに行くことにした。案内の立て札は「水木サン」と表記していて、これにも顔が綻ぶ。

「日本のミケランジェロ」にこさえさせたという立派な墓には、すでにたくさんの花や線香、グッズが供えられていた。御供物からみるに、最近の映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』でまた新たなファンが獲得されているようでもあった。墓地の隣は小学校で、つい「墓場で運動会」と口ずさむ。


調布駅周辺をぶらぶらしていると、水木しげるスポットにたくさんいきあたる。「鬼太郎ひろば」では、お馴染みの妖怪が違和感なく遊具としての役割を果たしていた。

この鬼太郎の家には興奮した。中にはちゃんとちゃぶ台と、茶碗風呂に浸かる目玉のおやじがいるではないか。人様に迷惑かけることのない範囲でこの中でゴロゴロできないものか…。

リニューアルオープンした鬼太郎茶屋がある天神通り商店街にも行ってみよう。ここにも鬼太郎、猫娘、ねずみ男が佇んでいる。

鬼太郎茶屋は入場規制で大行列ができているほどの混雑具合でびっくりした。読書しながら待ち、ようやく入れた店内には石破総理からのメッセージが。さすが鳥取出身である。「しげる」繋がりもあるしな。

せっかくだから深大寺まで足を伸ばそう。ここには旧鬼太郎茶屋の跡地が残る。

深大寺には、なんと左手に蕎麦の実、右手に蕎麦つゆの徳利を持つ「そば守観音」が祀られている。かつて境内で蕎麦を栽培していた、あるいは近隣から献上された蕎麦粉で寺が蕎麦を打ったなどの由緒があるようだ。

売店も立ち並ぶ立派な境内には、七五三のお参りで家族連れが多く訪れていた。

寺の一角に佇むナンジャモンジャの木。樹種はヒトツバタゴで、なんだか見慣れない木への一般的な愛称であるという。見頃の時期には「なんじゃもんじゃコンサート」という愉快なイベントが開かれるそうだ。

寺の裏手を登っていくと、日本野鳥の会の創設者・中西悟堂の像がありびっくりした。どうやらこの寺で修行した時期があったようである。この辺りからは、木々の隙間に富士山も見える。

しっかりと深大寺蕎麦もいただき、調布散歩はおしまい。