タイミングがタイミングでありましたが、雪がとけたら行こうと思っていた洞爺湖有珠山ジオパークを歩き回りました。
金比羅山麓エリア
まず向かったのは、金比羅火口災害遺構散策路です。2000年に起きた有珠山一帯の噴火の泥流で被害を受けた施設の一部をそのまま残し、フットパスとしての整備がなされています。この場所は現在、砂防施設でもあります。
散策路に降りてまず驚くのは、それまで自分が立っていた展望台が実は砂防ダムであったということです。いつでも噴火が起きる可能性があり、そんな環境と共存していく場所であることを突きつけられる気持ちです。
洞爺湖有珠山は2009年に日本で初めて世界ジオパークに認定されました。火山活動から形成された地形や自然が教育・観光に活かされた場所となっています。
入り口の半分ほどの高さまでが泥で埋まった町営温泉施設、流された橋がぶつかった跡の残る団地が、噴火時の被害をそのままに伝えてくれます。2000年の噴火の際には、前兆地震から事前の避難が完了していたため人的被害はなかったそうですが、ここはもう人の住めない場所になりました。
しばらく足を進めると、洞爺湖とその周囲の街並みを見下ろすことができます。再び噴火が起こった際、ここにある砂防ダムが街を守るでしょうか。火山があっての温泉街なので、上手に共存していけると良いですね。
2000年の噴火でできた「珠ちゃん火口」「有くん火口」の二つの温泉湖を見ながらフットパスを進みます。どちらの湖も青々としています。ミネラルや微生物など、原因は諸説あるようですが、はっきりとしたことは不明です。
西山山麓エリア
2km強の金比羅のフットパスを抜けると、西山山麓火山群の散策路入り口に着きます。ここも2000年の噴火で被害を受けた場所で、旧町道温泉公園線沿いに散策路が整備されています。並行して走る旧国道230号線は大きく変形しており、一部は上の写真のように新しくできた沼に没しています。
ガタガタになった町道。これはマグマの上昇による隆起の両側が階段状になる「地溝」が形成されたためにできたものだそうです。
その約75mの隆起でできた新山山頂から太平洋側を望みます。目の前が火口。ここから海側にかけては何本もの断層で刻まれた地溝帯になっているそうです。当時の噴火で崩れたお菓子工場も目に入ります。
この散策路にも、壊れた道路や建物がそのまま保存されています。噴火の被害は泥流や隆起・陥没だけでないことを、噴石で無数の穴が開いた旧とうやこ幼稚園が教えてくれます。
有珠山山頂エリア
最後に、一帶の大ボス、有珠山に向かいます。ロープウェイでいくのも味気ないので、登山道から登ることにしました。ついでに今年初の登山でもあります。
有珠山の標高は733m。約2万年前から続く噴火によって形作られた山です。
1時間も要せずに視界が開け、山の南側に広がる噴火湾を一望できます。有珠山はもともと羊蹄山や富士山のような形だったそうですが、7000〜8000年前の噴火で山頂部が崩れ、噴火湾へと土砂が流れ込んでいったそうです。
外輪山遊歩道からは、山頂部のいくつもの溶岩ドーム群、そこここで立ち上る噴気を見ることができます。過去幾度となく噴火してきたことで形作られたダイナミックな景色には圧倒されます。
遊歩道途中のこの階段にも圧倒されますが…。
変動し続ける大地を感じ、いかに共存するかを考えられる場所でした。地震が身近な国に住んでいる身として、足元の地質を体感して知る機会を得られました。