黒豆海苔巻

主に北海道で散歩してるブログ

九州ウルトラダイジェスト

 うかうかしているうちに次のGWを迎えそうである。忘れぬうちに昨年のGWに爆速で駆け抜けた九州の記録をしておこう。学生時代に北九州市にだけ行ったことがあり、本格的な観光は初めてだ。

 昼過ぎに福岡空港に降り立ち、なにはなくとも豚骨ラーメンを摂取。店内の案内をよく見ると大阪からの逆輸入チェーンだと分かり、早速出鼻をくじかれる。しかし見た目に対してさっぱり食べられるラーメンで美味しく満足。

 そのまま空港近くでレンタカーを借り、そそくさと大分へと向かう。車の窓を開けて少し湿った空気に触れると、南に来たのだなという感慨が湧いてくる。

 最初の目的地は湯布院である。ごった返す土産物街を練り歩き、九州醤油をテイスティングしたり、とり天をつまんだり、柑橘の砂糖漬けを買ったりした。久々に「観光地」に来た感がある。

 さて、宿泊するのはいわゆる湯布院ではない。そこから山道を辿った先にある湯平温泉の「旅館まるや」が今夜の宿である。

 やや成り行き上で湯平温泉に泊まることになったのだが、結果的にはとても良かった。鎌倉時代には温泉として利用されていたとされる歴史ある場所で、石畳の小道を辿ると点々と旅館があり、静かで落ち着いた雰囲気だ。夜になると提灯の灯りで幻想的な雰囲気になる。

 旅館まるやでは、少し軋む急な階段を登った2階の和室に通してもらった。この時点で懐かしく落ち着く気持ちになる。いかにも旅館という風情の部屋食も美味しく、姿揚げの川魚でビールは進むし、おひつの白米もなくなりかねない。

 温泉は貸切風呂のかたちで、離れにふたつある。木々の隙間から空を見上げてゆったり浸かれる。すぐ横が小道だったりするものの、とても静かである。夜と朝、それぞれ利用させてもらった。

 この大分キャッチコピーの内容が詰まった温泉宿で満足した。

 

 旅行2日目は、やまなみハイウェイを抜けて熊本方面に向かう。天気がやや不安定ではあるが、九重の山並みを望みながらの爽快なドライブである。

 途中、長者原ビジターセンターでの休憩がてら、タデ原湿原を歩く。野焼きによる管理のおかげでのびのびと広がる草原にヒバリが飛び交い、奥には山々を望む。ここが九重連山への登山口にもなっているようで、登山者が木道の奥に進んでいく。いつかは登りにきたいものだ。

 さらに進んでいくと何やら怪しげな雰囲気に思わず車を停める。不思議な形のものが立ち並んでいるではないか。

 近づくと全て植木である。鳥やらくまモンやらの形に刈り込まれた木が恐ろしい数で立ち並んでいるのである。どうやら千羽鶴鹿公園とGoogleマップに登録されており、ひとりでこの剪定をしているらしい。

higojournal.com

 名前の通り鹿もいる。ディストピア感が醸し出される印象深いスポットである。

 

 千羽鶴鹿公園のインパクトでぼんやりしてしまったが、すでに熊本県に入っていた。大観峰から阿蘇を眺める。阿蘇山をのぞいてみたかったが、時間が押してきたので眺めるにとどめることにした。

 それでもあか牛は食べておきたい。少しレトロな雰囲気の「すぴいかん」でローストビーフ丼をいただく。想像よりも食べ応えある枚数が載っていて嬉しい。柔らかいんだけど柔らかすぎず、肉感をちゃんと感じられてこれも嬉しい。連休ということもあり小学生の息子さんが注文を取ってくれたりするのが微笑ましくも、偉いなあと感心させられるのもなんだか嬉しい。

 満足して阿蘇の道の駅あたりをふらついていると、レンタカー屋にくまモン。これを貸し出しているのか…?

kumamon-land.jp

 貸し出していた。くまモンの音声でナビもしてくれるらしい。おまえ、しゃべれたのか…。この後も実感することになるが、熊本では至る所でくまモンと浮気調査の看板を見かけることになる。

 

 熊本市街に着く頃には少し天気が崩れてきていた。閉まる前にと熊本城へ急ぐ。道すがらのザ・熊本ガーデンズがかっこいい建築でときめいてしまう。

 熊本城は人生で目にした城の中でもスケールが大きく圧倒される。回廊を辿っていく順路も、少し高みから敷地を見渡せて新鮮で良い。石垣などに目を向けると2016年の熊本地震により崩れたままとなっている箇所も多く、これを元通り積み上げるとなると大変な事業だなと思わされる。

 我々の消費が石垣の石一個分にもならないだろうが、「料理天國」で熊本料理をたらふく食べる。名前だけではなんだかわからなかった人文字ぐるぐるはわけぎを巻いたもので、さっぱり美味しい。自家製のからし蓮根はツーンとするよりも旨味が先にあって食べやすい。だご汁、サラダちくわ、馬刺しの握りなど、一通りなんでも揃っていて嬉しくなり、片っ端から注文。北海道でなかなかお目にかかれない、アジ丸々一尾の南蛮漬けの甘酸っぱさとカリカリ具合が疲れた体にしみる。

 

 翌朝、起きたら土砂降りである。それでも車を走らせ、佐賀の嬉野温泉へ。豊玉姫神社の美肌の神・白ナマズを拝む。豊玉姫というのは竜宮城の乙姫だそうで、姫も美肌、ナマズ様は肌の病にご利益があり、近くには温泉という美肌聖地なのである。ありがたくお祈りさせていただき、広場にある足蒸し湯を利用させてもらう。以来、脛から下はすべすべである。

 さらに車は走り長崎へ。元々は九十九島の景色を眺めようと思っていたのだが、どんより不安定な空模様でそれどころでない。

 

 「牡蠣に注意!」と張り紙があって、まさかと思ったがちゃんと牡蠣がいて感動。

 ベルビーチ本店で佐世保バーガーをさっぱりと食べた後は、海きららへ寄ることにした。

 決して規模は大きくはないものの、長崎の豊かな海の様子を垣間見ることができる素敵な水族館である。

 全くサイズ感のわからない写真ではあるが、五島列島で捕獲されたジャイアント伊勢海老。通常は200〜300g程度という伊勢海老界で、この方は2700gと飛び抜けた体格をしている。

 海きららはクラゲでも有名で、日本初確認・初繁殖のような種も多い。幻想的な展示もしながら、毒レベルを表示する遊び心もあり楽しめる。ほわほわ浮かび泳ぐ姿には惹きつけられ、ついつい「クラゲの生活環イラストトートバッグ」を買ってしまった。

 駅前で買い物などしているうちに、そろそろ福岡にレンタカーを返しにいかなければならない時間に。またもや車を走らせ、渋滞にはまり、一方通行の路地に悩まされ、ガソリンスタンドを探した上で、時間ギリギリに返却。返却した側から車の清掃作業が始まり、待たせて申し訳ない気持ちに。

 九州最後の夜、福岡名物のごまさばを食べようと「博多金鯖」へ。このごまさばは種としてのゴマサバではなく、鯖の刺身を醤油・炒りごま・みりんで和えたもの。この店では刺身や炙りの食べ比べ、串物の盛り合わせなど、鯖ざんまいのメニューを楽しめる。もちろん酒は鯖専用日本酒「サバ・デ・シュ」である。鯖で〆た九州旅行であった。

 反省はもちろんこの移動のしかたであり、北海道を基準にした移動距離・時間の設定ではダイジェスト的にしかならない。結局は色々再訪したいなと後ろ髪引かれながらの帰宅となった。