越後妻有での2日目です。朝少し早く起きて、魚沼スカイラインを走ります。まだ朝靄に包まれる南魚沼が眼下に広がります。
道は細くうねります。でも、眺望を独り占めできます。
この日はまず松代から。早く着きすぎたので、まだ『農舞台』は開いていません。少し歩いて野外作品を観ることにしましょう。
『リバース・シティー』。
『かかしプロジェクト』。小高い丘を登って行くものの、自然の中を歩くのは心地よいです。
森の中にある『水のプール』に、綺麗に木々が映り込みます。
『地震計』のガラス玉には空が封じ込められていました。いい天気でうきうきします。
農舞台のすぐ裏では米も育てられていました。
開館後に見る『棚田』。文字とシルエットが呼応し、棚田での営みの1年を知ります。
松代の町の方へ。
おばあさんちの方へ来た感が強まります。実際、軒先などにいるおじいさん・おばあさんによく話しかけられ、帰省したかのような気持ちに…。
ここでは空家を使った、豊福亮『黄金の遊技場』がよかったです。近未来SFの日本におけるネオ・ヤクザのアジトのごとき佇まいです。
牌で描かれる世界地図とは狂気の沙汰。
総じて安っぽく金ピカであり、カニエとJAY-Zとのコラボアルバムのジャケットが延々と広がるかのごとくで最高です。2階部分はこれまた総じておかしく、ニヤついた笑みを浮かべてしまうこと間違いなしでしょう。
入場前、この展示の入り口で近所のおばあさんに「まだ入ったことないんだよねえ、今度行ってみようかねえ」などと話をしました。やや心配もあるものの、ぜひ追って感想を伺いたいものです。
さらにもっと気に入ったのは、金氏徹平『SF (Summer Fiction)』です。倉庫に入ると、北海道民には見慣れた除雪作業車が並んでいます。
そこは作業車のためのクラブみたいでした。作業音や作業者の声を背景に、照明が時にかっこよく、時に猥雑に重機を照らします。不思議な高揚感もあり、ずっと観ていられました。普段気にもしていないクラスメイトの意外な一面を見てドキリとしたかのようです。見直したぞ、除雪作業車。
前日行きそびれた『脱皮する家』に向かいます。
壁や床、天井など全てを彫刻刀で彫ったという作品です。
とにかく感触が良い。サンダルを脱いだ裸足に伝わる凹凸の感覚が、無邪気な感情を湧き上がらせます。それに、こうして陽の当たったところは暖かさも伝え、懐かしさと安心を感じさせます。
その後もいくつか展示を周り、お昼は十日町の小嶋屋でまたもへぎそば。昨日とはまた違う喉越し。こちらは軽いこと軽いこと。
そのまま『キナーレ』へ。しかしすごい人でした。レアンドロ・エルリッヒ『Palimpsest』の説明文「建物の鏡像が複層化している不可思議な現象に気づく」を読んだ時は「?」という感じでした。ところが実際にきて見るとたちどころにどういうことかわかり、思わずニヤリとしてしまいます。『ライトケーブ』で水鏡を見た後だとなおさらね…。
最後はジェームズ・タレル『光の館』。
見所はやはり天井が大きく開き空が見えるところ。縁取られた空を、床に寝転がって眺めます。
館内には緑の光が柔らかく差し込んでいました。
台所も緑の光が反射します。いいなあ。ここ、泊まれるそうなので、いつか合宿などしてみたいものです。
2日間かけて回ったものの、観れたのはごく一部。それでも面白かったり綺麗だったり、怖かったりするものをたくさん摂取できたので満足です。また3年後に来れるといいですね。