先日の穂別博物館に続き、北海道の太古の海の様子を覗きに、いくつかの施設をめぐりました。今回の目的はクジラ!
まずはここ、新十津川の物産館「食路楽館」。「くじらかん」って読むんですよ。屋上にはクジラに乗ったピノキオ。正直怪しすぎる…。
1984年に、近くの幌加尾白利加川(読めない)で、500万年前に生息していたクジラの骨が見つかりました。「シントツカワクジラ」と名付けられたそのクジラは、現生のコククジラに近い姿であるそう。この物産館には、写真にあるコククジラの複製骨格、発見時の化石の様子が展示されています。「レストランくじら」という店もあって、クジラ料理だって食べられる。
シントツカワクジラの復元図。サケとクジラが一緒に描かれると、なんだか違和感が…(十分現実にありうるんだけど)。畝の有無とか、骨だけからわかったりするのかな?
さて、この復元図の左上にいるイルカ!シントツカワクジラが生息していたころにいたイルカってどんなやつなんでしょう。
さらに車を走らせ、沼田町の化石体験館に。
ここで見つかったのが「ヌマタネズミイルカ」。約400万年前に生息していたそう。現生のネズミイルカよりも1回りも2回りも大きく、腕の骨や脊椎の棘突起が大きいのが特徴。胸ビレは、シャチやシロイルカのように、体に対して相当大きかったんだろう。歯は今のネズミイルカとほぼ同じ形なので、食性も似通っていたのでしょうか。
新属新種として、属名をNumataphocoenaと命名していることに、なんだか感動。ネズミイルカ属がPhocoenaなので、属名だけで全てが表されています。
500万年前の北海道。ヌマタネズミイルカは沿岸性だったのか、それとも死体が流されて打ちあがったのか…。
沼田の500万年前の地層から産出された生き物たち。化石の展示に加え、この躍動感あふれる復元模型が素晴らしいです。どんなふうにこれらの生き物が泳ぎ回っていたのか、具体的にイメージすることができます。
ぼんやり四つん這いになっている模型が多いデスモスチルスですが、ここではこんなにアクティブ!これまでのぬぼっとしたイメージが覆ります。
他にも、初期のミンククジラ、クビナガリュウ、カイギュウ、アンモナイト、ホタテの化石も数多く展示。小さいけれど、見ごたえのある博物館でした。
沼田化石体験館には、ヌマタカイギュウの肋骨の化石も展示されていました。4mほどのカイギュウなのですが、その肋骨の横に、さらに大きな肋骨の化石が。聞けばタキカワカイギュウの肋骨とのこと。もっと大きなカイギュウがいるのかと、がぜん興味がわきます。
ということで、さらに車を走らせ、滝川市立美術自然史館へ。タキカワカイギュウをはじめ、様々なカイギュウの骨格が展示されています。
このタキカワカイギュウの実物大復元模型を見ての感想は、とにかくでかいということ!体長は8m、あれだけ大きかったと聞くステラーカイギュウが5mとのことなので、それをはるかに上回っています。そして何よりも、腹回りの太さが半端ないです。写真では全然迫力が出ない…。
上から見るとこんな感じ。ちらりと写るお子さんや、奥のマンモスと比べて頂けると、何となく大きさがわかるかと…。
カイギュウの骨格標本を見ると、例えばイルカやクジラに比べて、肋骨が左右に大きく開いていることがわかります。あまりに頼りがいのある大きな背中は、この骨によって支えられているのですね。
こんなに大きなカイギュウがいて、肋骨の化石しか発見されなかったときに、クジラかカイギュウか、なぜわかるか疑問でした。どうやら比重が全然違うそうで、カイギュウの肋骨は一人では持ち上げられないくらい重いのだとか。一度持ち上げて比べてみたい!
そんなわけで、太古のクジラをめぐる小旅行は終了(後半カイギュウだったけど)。次は生きているクジラを見に行こうと目論み中。