黒豆海苔巻

主に北海道で散歩してるブログ

カレーと竹

 翌日はまず呉に向かった。広島駅から呉線で1時間ほどである。海が見えると踏んで進行方向右側に陣取っていると、港町小学校の円形校舎がどんと現れて大興奮するなど、車窓の風景に気を取られているうちにあっという間に呉駅。

 駅からショッピングモールを突っ切るペデストリアンデッキを辿ると、陸揚げされた潜水艦「あきしお」が現れる。全長76mというからスケール感がすごい。ここが今日の目的地の一つ「てつのくじら館」である。ちなみに斜め向かいには大和ミュージアムがあるが今回は訪問しない。戦艦には興味が薄く、潜水艦は非常に気になるということの差は自分でもよくわからない。

 開館までまだ時間もあったので、港の方まで出てみる。造船所の方を望むと、何も載っていないコンテナ船。大きさが際立って見える。

 方言看板。思えばこの旅行であまり広島弁を聞いていない。と言っても広島弁イメージは仁義なき戦いくらいの強烈なものしか持ち合わせていないので、求めていたものが過剰なだけかもしれないが。

 この広場の脇に、ころんとした栗があるなと思ったら「しんかい」である。今のしんかいが6,500m潜れるのに対し、この初代しんかいは600m。そう比較しちゃうと浅いなあという感じもしないでもないが、生身じゃ絶対に行けない深さに足を踏み出した一歩であるからすごいのだ。

 そろそろ開館だから、てつのくじらに戻ろう。潜水艦・ユニクロ・GUという異質な並びが壮観である。

 まず見学するのは機雷清掃の歴史である。『ゴジラ−1.0』で神木隆之介がやったことで一躍有名になったに違いない。映画の中でやられていたのは射撃処分と呼ばれる方法で、沈底機雷を処分する場合は、ダミーの発信機に反応させるか、実際に海底で爆破させるかして処分する。なんてことを知っているとゴジラの機雷シーンは何倍か楽しめる。

 とはいえとても笑っていられないような数の機雷が日本の周りにあったのだ。貿易再開できないと国が回らないという理由もありすごい勢いで除去してくれたおかげで今があるのだが、とてつもない危険を冒して作業にあたってくださった方には頭が下がるだけである。

 その上の階からは潜水艦の展示である。館内のベッドにも横たわってみることができ、狭い、頭を打つと騒いでいたら、「そこは比較的偉い人の寝るとこですよ」とたしなめられる。

 外のあきしおもそうなのだが、船のお腹は赤い。これは、昔の船ではフジツボなどがつかないように船底に毒性の塗料を塗っていて、その危険さを視覚的に示すために赤色にしていたのだという。結構やんちゃな理由でびっくりする。

 もちろんあきしおの内部にも入れる(ただし撮影禁止)。当たり前だが窓はなく、一体どうやって操縦するのか想像もつかない操縦席には驚かされる。潜望鏡を覗く体験ができるのも嬉しい。嬉しさついでに、あきしおのぬいぐるみを買ってご満悦である。

 そうこうしているうちにお昼時なので、呉ハイカラ食堂に「そうりゅうカレー」を食べに行く。呉市内には海上自衛隊の艦艇ごとのカレーを食べられる店が乱立しているのだ。それぞれ特色があって、このそうりゅうカレーは、フルーティなコクの後に辛味がやってくる少し不思議なやみつきカレーだった。副菜のくじらカツも久々に食べたが美味しい。

 フェリー乗り場の展望台に登ったり、呉氏グッズを買っているうちに電車の時間である。思えば呉では駅周りの半径1km以内で活動が完結したのではないか。

 呉を出た我々は、広で乗り換え、竹原へ向かう。途中、日本で一番短いトンネルである川尻トンネルをくぐる。あっという間の8.7mである。

 さて、竹原は古い街並み保存区である。実写版るろうに剣心のロケ地ということでやってきたのである。

 名前に違わず竹の町なので、竹の道具や、筍に改造されたカラーコーンなどがたくさん観察できる。

 これはカニ観察にうってつけの川。

 この日は空港近くのホテルまで行き、またもやお好み焼きを食べて一泊。翌朝早々に帰るのであった。