黒豆海苔巻

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偉人たちの脅威の部屋『大英自然史博物館展』

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 結構な頻度で来ている気がしますが、国立科学博物館で開催中の『大英自然史博物館展』に行きました。1881年に開館したロンドンにあるこの博物館の所蔵品の一部を、幾つかの国で展示巡回するそうで、日本がその最初の場所に選ばれたとのことです。

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 最初に出迎えてくれたのはオーデュボンの『アメリカの鳥』の一部。ほぼ原寸大で描かれており、手彩色というのもすごい。特異な本の実物が見れたのは嬉しい。

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 鳥といえば南アメリカ産ハチドリのガラスケース。ロンドン万博のためにジョン・グールドが収めたもので、6面それぞれに異なる種が配置されています。その姿を生き生きと再現しており、貴族の遊びという様子です。

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 本展覧会のイメージの一つにもなっているドードーの模型。最も有名な絶滅動物の一つですが、その絶滅で「人間はたんに悲しみを知り、知識を仕入れただけだったようだ」というダグラス・アダムスによる一節を思い出します。

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 リョコウバトも同じように狩猟をきっかけに絶滅した鳥。50億羽ほどもいたのに、わずか1世紀ほどで絶滅に至ってしまったというのです。

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 鳥の標本の多くはこうした形で保管されています(串揚げになるのを待っているようですが…)。

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 いちばんすごかったのは、やはり始祖鳥のロンドン標本。タイプ標本の実物というだけでものすごいオーラでした。

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 これはイグアノドン類の骨盤化石。リチャード・オーウェンが「恐竜」という呼び名を提唱する根拠の一つとなったものだそうです。ここから恐竜の歴史が始まったと思うと感慨深いものがあります。

 このほかモアの全身骨格があったり、化石ハンター・メアリー・アニングの特集展示、ロスチャイルドに愛されたヒクイドリなどもあり、広義の恐竜類の展示が充実してました。というかそればっかり見てましたので、鉱物などの印象は個人的に薄め…。

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 ただの本とはいえ、実物を前にすると感動が押し寄せたリンネによる2冊。

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 ダーウィンの学術的コレクションも。自然科学の歴史を追体験できるような展示の数々は刺激的でした。

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 真剣に考えなくても、古今東西から集められた変なもののごった煮空間のようになっており、頭からっぽにしても大変楽しめる空間でした。ピルトダウン人の骨まであったのは驚きましたが、この骨の鑑定をしたのが大英自然史博物館だったということで、博物館の役割についても考えさせてくれた、良い特別展でした。