黒豆海苔巻

主に北海道で散歩してるブログ

リベンジ旭岳

 北海道百名山を踏破しようとじわじわと挑戦をしているのだが、どうしても悪天候の中強行で登った山がいくつかある。眺望は皆無、体を震えさせながらほうほうの体で下山するその行動は、本当に「登った」という経験に数えられるのか。その山の魅力を十分に感ぜずして何が登山か、という気持ちがあり、過去に無理やり登ったそうした山々に再チャレンジしたいなと考えていた。

 北海道最高峰である旭岳もそうした山の一つであり、およそ10年前に登った時は、真っ白な山頂にたどり着いた途端に踵を返して下山したものだ。あらゆる天気予報が好天を告げる「イーサン・ハントの日」に、この日こそはと旭岳に再びと車を走らせ、7時ごろにロープウェー駅に到着。

 ところが山の姿など全く見えない。ここまでの3時間の道中で一度も青空を見ていなかったので予感はあったのだが、立ち塞がる厚い雲に改めてうんざりする。しかしまだ朝は早い。山頂に着く頃に雲が晴れればいいのである。

 7時半に登山を開始。山頂駅ももちろんガスで覆われている。

 見晴らしのない登山は修行中の心持ちである。山頂までの一直線の単調な登りを、脇目も振らず粛々と登る。霧で髪が濡れていく。

 これが山頂…?10年前と変わらず、何も見えない。人気の山なので9時の時点でも人がたくさんおり、皆口々に天気への悪態をついている。仕方なく湯を沸かしカレーメシをかき混ぜながら晴れ間が出るのを待つ。30分くらい待ったのだが、晴れる様子は全くないので仕方なく立ち上がる。このまま折り返すことも考えたが、せっかくなので間宮岳から裾合平に抜ける当初予定で周回してみよう。

 旭岳を東へと下るザレ場を滑るように降り、キャンプ指定地手前の雪渓にたどり着いたところで少し雲が晴れてきた。どうも旭岳が西側からの雲を堰き止めているようでもある。

 天気が良くなれば気分も良くなってくるもので、花々を眺める余裕も出てきた。

 10時すぎには平たい間宮岳に到着。

 お鉢の方はよく見渡せる。これで数年前に黒岳からのお鉢周りをした経路とつながった。

 ここからは谷を抜け、裾合平へと抜けていく。広がる景色に圧倒されながら緩やかに進む素晴らしい下り道だ。

 谷の底にあるのは中岳温泉だ。温泉の湧き出し口でみんな足湯を楽しんでいる。位置取りに気をつけないととても熱い。

 ここからは小川をいくつか渡りながら平坦な裾合平を進むことになる。

 この辺りはチングルマが咲き誇っており、たくさんのカメラマンがいた。山頂駅の方は羽飾りの準備が進んでいたので、少しの標高差でだいぶ違いがあるようだ。

 ノゴマの囀りは遠くからでも良くわかる。ハイマツではギンザンマシコのメスを見かけたが撮影は失敗。ビンズイキセキレイカワガラスなども見かける。

 そのままズイズイと歩いて、13時前には夫婦池の辺りまで戻ってきた。旭岳はまれにくっきり見えたものの、山頂の方は終日雲で覆われているようであった。そんなわけで旭岳リベンジはまたも未遂に終わり、再訪を誓って下りのロープウェーに乗るのであった。