久々登山。8時すぎ、望岳台から十勝岳山頂を目指すのだけど、目指すべき場所は見通せず。
エゾオヤマリンドウがいたるところに。望岳台の時点で標高900mちょっとなので、最初から高山感のある景色を楽しめるのが良い。
ナキウサギの姿を追っているうちに霧も消え、ようやく十勝岳の姿が見えた。噴煙の上がる火口の先が、標高2,077mの頂上だ。
工程の半分弱のところにある避難小屋からは登りがきつくなる。ふと立ち止まり振り返れば、ここまで歩いてきた道が全て見渡せる。木々に覆われていないからこその景色で、早くも充足感を得られる。
もちろん、進むべき道も見えるわけなので、この分気持ちを奮い立たせなくてはならない。なまった足がすでに辛いと叫び、情けなさを感じる。
先ほどの避難小屋で休む別グループのガイド的な方が、「ここからしばらく岩場。それを超えるとシルクロードがあり、あとはガッと行って、ちょっとフッとなって、またガッとなれば頂上。頑張りましょう。」と話しており、なーにを言っとるんだと思っていたが、適切な言葉であったとこの後よくわかった。
きつい岩場を抜けると、噂のシルクロードが現れた。火星あたりにでも来たかのようである。
北側にそびえる恵庭岳と比べれば、十勝岳の景色の異質さもより際立つ。
このシルクロードは火山灰が積もっているのか、砂浜を歩いているかのような感触だ。足取りは重いが、SF映画の主人公になったかのようなちょっとした高揚感が気持ちを引き上げる。
シルクロードの終わり、いよいよ山頂への道筋がはっきりわかってきた。やはり2度の「ガッ」があるらしい。
何がどうしてこうなった感のある地形は圧巻である。
ひとつめの「ガッ」の途中でシルクロードを振り返る。雲がなければ富良野・美瑛の街を見下ろしたのだろうが、あいにくそれは隠れてしまっている。しかしそのおかげで、岩と砂だけの景色が切り取られ、奇妙な世界に迷い込んだ感覚を強めてくれる。天気がよくなくても、この奇景を見るためだけでも登る価値はあるだろう。
頂上には11時ごろに到着。天気はよくなかったけど、よくないからこその楽しみがあった登山だった。