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黒豆海苔巻

主に北海道で散歩してるブログ

『横山大観展』に行ってきた

見学

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 北海道立近代美術館で開催中の『足立美術館所蔵 横山大観展』を観てきました。島根県にある足立美術館所蔵の横山大観作品120点から選りすぐった50点が展示されています。初めての日本画の展覧会です。

 正直「横山大観って誰…」という無知具合でしたが、チラシに掲載された作品に心くすぐられて足を運びました。入場してすぐに美術の教科書で見た「無我」があり、ああこの人かと合点がいくとともに、好みとはずれていたためこういう絵ばかりだったらどうしようと一抹の不安も覚えます。

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 しかしそんな不安は2枚目の「曳船」で吹き飛びました。朦朧体と呼ばれたぼやけた描法は、淵の脇の岩場を歩く水夫を取り巻くむっとした湿気をありありと感じさせます。その一方で画面上では見えない船を引く細い白線はハッとするほど鋭い。水面のうねるような佇むような描写が幽玄な印象を引き立てます。大きく余白を残した掛け軸ならではの縦方向の構図も何だか新鮮です。すごい好きだわ、この絵…。

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 動物と植物をモチーフにした絵も多くあり、鳥を描いたものはどれも良かったです(ただ哺乳類はちょっと手を抜いてません?)。特にこの「鶉」における写実的な楢の葉の枯れ具合と、ウズラの佇まいは非常に気に入りました。上の図では分かりにくいですが、横山大観の絵では植物の緑は青に近いエメラルドグリーンで塗られていることが多いように思います。その色使いも画面を印象的にしているのではないでしょうか。

 この他にも「浅春」という早春の庭にやってきたウグイスを描いた絵があり、これも見ていると木漏れ日のさすうららかな陽気を表していると突然気付く瞬間があってお気に入りです。

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 そして本展の目玉、北海道初上陸という「紅葉」も良かった!W7m強に及ぶ大画面でバキッとコントラストになった紅い葉と青い流れの華やかさが目を引きます。散らされた銀のしぶきの輝きも瑞々しいです。朦朧体の人と同じとは思えません。何より僕が気に入ったのは、水の流れを表現するのに使われたへの字型の白い波線がいくつもパターンのように敷き詰められていること。流れに落ちた葉の上にこの波線が描かれ、沈んでしまった葉がいくつかあるのもおもしろい。

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 シリーズ化するなど、モチーフとして多く扱われたのが富士山だったのでしょう。富士山を描いたものはどれも気合いの入りようが他の絵とは比べ物にならないと感じられたのですが、その中でもこの「雨霽る」が良かったです。黒く重々しい手前の山にこっそりと五重塔が描かれていたり、麓の竹林が異常なまで細かく書き込まれていたり、力強さと繊細さのコントラストが見事です。雨上がりに烟る風景が徐々に晴れ、富士山が顔を出す様子は幻想的で現実感がありませんが、それだけに絵から受ける衝撃は大きく残りました。

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 ふざけたくらい真っ青に塗りつぶされた富士山の絵も幾つかあったのだけど、雲のリアルさとの対比が水木しげる的なアンバランスさで愛おしいくらいです。

 僕にはグッとくる絵が多く、大変満足しました。画家来歴とか読み飛ばしてきたので、買ってきた目録でしっかり復習しようと思います。また、足立美術館の庭園の写真も大判で展示されていたのですが、ゾクゾクするくらいの完璧主義を感じる風景ですごかったです。いつか行ってみたいものです。