黒豆海苔巻

主に北海道で散歩してるブログ

イタンキ海蝕洞への精神修行

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 大潮の日、室蘭のイタンキ浜にやってきました。この海岸をズイズイ歩き、干潮時しか踏み入れられない洞窟を見に行こうという魂胆です。写真奥に見える、三角の双子岩あたりが目的地です。天気は良いとは言えませんが、おかげで涼しい。

 ところでこの海岸は鳴砂海岸とのことで、踏みしめるとキュッキュと音が鳴る…はずなのですが、あまりよく聞こえませんでした。なるべく白く乾いた砂を蹴るようにするといい、ともあったので、天候的コンディションの問題か…。

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 しばらく砂浜を行くと、ごろごろと岩が目立ってきます。堆積した層がよくわかります。

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 ジオジオしい風景。元は海底火山の山裾だったものが浸食されたものとのこと。きれいにミルフィーユ状になっています。

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 さて、岩場を進むこととなるのですが、だんだん景色を見ている余裕がなくなります。それは岩場の険しさによるものではなく、容赦なく視界に入ってくるフナムシに精神を削られてしまうためでした…。いやまあ海だからそりゃいるんですけど、こんなにもいるのかと。ごま塩振ったかのような密度です。海蝕洞まで楽しげに到達する記事を方々で見ましたが、なぜ誰もフナムシのことを教えてくれなかったのか。

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 『さんぽ』を熱唱してどうにか精神を奮い立たせ、フナムシ、カモメ、ウ、ツバメの大群をくぐり抜けると、ついに海蝕洞が見えてきました。幾多の困難(フナムシ)を乗り超え、我々はようやくこの偉業を達成したのです。実質歩いたのは30分くらいですが。

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 海蝕洞の入り口はもうすぐそこです。しかし我々にはある不安がよぎります。洞窟の中にもフナムシがうじゃうじゃいたらどうしよう。外と違って360度ぐるりと囲まれる可能性もあるのではないか。もしそうだったら、人間性を保っていることができるのか。

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 危機管理という名のあらぬ妄想力に長けた我々は戦略的撤退をすることとしました。潮が満ちても困るしね、そうだよね。無我の境地で岩場を抜け、砂浜についた途端に青春映画の如く駆け出したのはいうまでもありません。

 もちろんこの顛末は我々の軟弱さの賜物であり、海風を感じて歩く気持ちよさ、海水のひんやりした感触、現実離れした圧倒的な崖の景色、洞窟自体の秘境感・希少性など、魅力も枚挙に遑がないことはここに弁明させていいただきます。