黒豆海苔巻

主に北海道で散歩してるブログ

ラストホタルイカでさよなら富山

 富山での朝。ゆっくり散歩することにし、ホテルからほど近い城址公園へ。この時間には誰もおらず、ねぐらとしているサギ類だけが目につく。北側の脇の道が通行止めで、何かと思えば地震で壊れた橋の補修工事。少なからず影響があったのだなと今更ながら実感する。

 重い荷物は富山駅のロッカーに置き、富岩運河環水公園までまた歩いていく。穏やかな水面が美しい。めちゃオシャなスタバがあるがまだ営業時間前。立派なピットブルが散歩している。

 今日は山々を遠く見渡せそうないい天気だ。ちょこちょこランナーを見かけたが、この日は黒部の方でマラソンがあるようだった。

 この近くにはゴールドジムの親玉もそびえていた。さすが「元気とやま」で、運動を推奨するような仕組みがたくさんあるようだった。

 富山駅に戻り、開店直後の立山そばに白海老天をつけて食べる。優しい味わいで温まる。電車まで時間があるので、土産物を冷やかした。

 

 あいの風とやま鉄道で向かったのは滑川。ラグビーのこともあってずっとNAMEKAWAだと思い込んでいたがNAMERIKAWAが正しかった。「滑らない町 滑川」のポスター多数で笑顔を誘う。

 海へ続く道の歩道は青色で、反射板も青色と、しっかりホタルイカイメージの道である。

 目的地であるホタルイカミュージアムの開館までまだしばらくあるので、海岸を歩いたりして時間を潰す。富山湾は青々とした水をたたえ、ここから昨日食べた刺身が獲れたんだなとしみじみ思う。またこの辺りは、ホタルイカの群れが来る海岸として天然記念物となっている。あわよくば蜃気楼が見えないかと目を凝らすものの、対岸は綺麗に見渡せるだけだった。近くのはまなす公園にはホタルイカの句碑が複数あり、ホタルイカ聖地としての圧を感じる。

 展望台からは立山連峰を見渡せる。いい山並みだなあ。

 開館に合わせ入館。シーズン終盤なので心配していた発光ショーはどうやら見れそうだ。ただしもう不漁でホタルイカの数は少ないとのこと。ショー開始まで50分ほどあるのでじっくり展示を見る。

 

 富山ではホタルイカを定置網で獲るのだな。兵庫県さんが漁獲量一位になったりしているようだが、俺たちんとこのホタルイカは全然ちげーんだぞ、という主張が至る所に散りばめられてて面白い。今回ちゃんとしたホタルイカは食べられなかったが、確かに美味しいんだろうな。

 ホタルイカモドキ科ホタルイカ属とはどんな分類だろうとつい気を取られてしまったが、よく見るとタッチプールである。いいのか触って。

 もちろん触る。プールの水は海洋深層水で、ひんやりして、ベタついたり変な匂いがしない。ホタルイカは手のひらにゴロリと転がるしっかりした大きさで、身の収縮から力強さも感じる。食べたい!という気持ちを押し殺してプールに戻す。

 そうこうしているうちにホタルイカの発光ショーの時間となった。別室のプールには30杯ほどのホタルイカ。この日は不漁だったので、ここにいるのは全て昨日入った生き残りとのこと。シーズン外なのだからこれだけいてくれるだけでもありがたい。軽快なトークによると、朝礼ではホタルイカも頑張って光ると意気込んでいたというので期待したい。ホタルイカ紹介ビデオの後に、いよいよ部屋は暗くなる。この後スタッフの方が網を引き上げるようにし刺激して発光を促すのだ。

 早めに瞑り暗順応しておいた目を開け、その時をまつ。いよいよ網がひかれ、ホタルイカはめいめいに発光した。触腕の強い光、胴体のぼんやりした光、どちらも観察することができた。量は少なかったのかもしれないが、今しか見れないものを滑り込みのタイミングで見れてよかった。ホタルイカ巡礼ができて満足である。

 

 富山駅にもどり、開催してる大規模な古本市へ。こんなイベントするなんで文化的にも富山はいい街だという印象を持つ。ZINEや古い随筆選集など買っているうちに時間は過ぎて、空港行きのバス乗り場へ。8番ラーメンを食べる余裕はなかった。

 帰りの飛行機、今度はちゃんとチェーンスパイクを預け荷物にする。機内で鱒寿司を頬張りながら山々を眺め、富山の3日間をじんわり思い起こしながら帰路についたのだった。